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小川洋子『密やかな結晶』

小川洋子『密やかな結晶』

 

こんな小さな記事がありました。

 

小川洋子さん英文学賞候補 ブッカー国際賞(2020年4月3日)
【ロンドン=共同】英文学界の最高峰ブッカー賞の主催団体は2日、賞の国際版である「ブッカー国際賞」の今年の候補6作品を発表、作家小川洋子さんの「密やかな結晶」が候補に入った。受賞作の発表は5月19日。

 

小川洋子の作品では『博士の愛した数式』を読んだだけですが、どんな話だったかは、私にしてはよく覚えています。

 

もっと読んでみたいと思っている作家の一人です。
たとえば、泉鏡花賞を受賞した『ブラフマンの埋葬』や芥川賞受賞作の『妊娠カレンダー』などを。

「英文学賞候補 ブッカー国際賞」はどのような賞なのかはわかりませんが、とにかく読んでみようと思い、読んでみました。

 

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どんな話か、裏表紙には、このように書かれています。

 

記憶狩りによって消滅がしずかにすすむ島の生活。人は何をなくしたのかさえ思い出せない。何かをなくした小説ばかり書いているわたしも、言葉を、自分自身を確実に失っていった。有機物であることの人間の哀しみを澄んだまなざしで見つめ、現代の消滅、空無への願望を、美しく危険な情況の中で描く傑作長編。

 


その閉ざされた空間である島には、記憶狩りという恐ろしい組織があるのです。そこから係がやってきて、地図、写真、オルゴールを、フェリーを、バラの花を、そして小説までを、記憶からもほうむっていくのです。

 

つまり、記憶狩りの対象となったものを打ち壊していくと同時に、それらについての人々の記憶までもうばってしまうので、人びとの生活はしだいに空虚なものになっていくのです。

 

この小説は、とりわけ高齢者には、身近で身につまされるところがあります。過去のことを、一つ一つ忘れ去ってしまう、確かにそれが進行していきます。

 

この物語は、コロナ禍にある現在の状況と重ね合わせて、読んでいるような気持ちにもなっていきました。

 

消滅していくものの物語―
こんな風にして、この世から去っていくのも悪くないなー

 

注 コロナ禍のため、受賞作発表は、この夏に延期に。