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金沢と『三州奇談』の雑記帳   ki-dan.com

奇談

現代語訳『三州奇談』その20 「家狗の霊妙」(巻之三)

この「関氏の心魔」には、ふしぎな光の怪の話が二つ出てくる。 どちらも怪にであった人がその奇怪な体験を語るものである。今に比べ夜ははるかに暗かっただけに、夜中に明るい光をみることは、異様で奇怪な体験であっただろう。

現代語訳『三州奇談』その17 「怪異流行(巻之四)」

元文元年(一七三六)中秋の良夜、午前一時頃、金沢・材木町の塩屋某は気心の知れた三人で連れ立って、月見がてら、紺屋坂下堂形前の空き地にやってきた。 そこで怪しいことが起こったのだ。背の高い三人は裸になり、下帯だけになり、衣類や大小の刀を帯でく…

現代語訳『三州奇談』 その16「非無鬼論」(巻之二)

近頃方々の寺社建設のための資金集めという名目で、富突きというものがはやっている。わずかの金額だが、多くの人から多くの札を集めてやっている。 錐で箱のなかを突いて、その一回だけで程度を越えた金を賞金として渡している。このため人々は家を売ってま…

現代語訳『三州奇談』 その15「夜行逢怪」

「夜行逢怪」(巻之三)には首の長さ六、七尺もある女の話が四つも出てくる。ニコニコ笑って行き過ぎた首があり、すれ違いざま息を吹きかけられ具合が悪くなった侍もいる。 金沢市橋場町に不破医院があるが、ここに出て来た不破玄澄という医者の子孫である。…

現代語訳『三州奇談』 その13「異類守信」

加賀藩の年寄・長家は、長谷部信連を始祖として続いており、連竜の武名は北国に知られ、加賀藩の家臣として三万三千石の所領をもっている。この家のことは別の書に詳しいので略する。 ただ長家には、ほかの家とは違っていることが多い。第一に鷹狩りを禁じて…

現代語訳『三州奇談』 その12「鞍岳の墜棺」

鞍岳は金沢城下の南西に位置しており、高尾山と峰続きである。近郷の高山は霊妙不思議な山であり、鞍岳山頂には真夏でも枯れない池があって、水は炎天でも涸れることはない。 その付近の池には山彦の怪があり、蓴菜の名所で、夏には訪れる人が大勢いる。

現代語訳『三州奇談』 その11「霾翁の墨跡」

あるとき武家に雇われて江戸に行き武州深谷の雇夫九兵衛というものを相棒として、武州総泉寺出の病僧が京都紫野へ向かうのをかついで、北陸道経由で上って行った。 この老僧の姿かたちは普通ではなく、年齢は八、九十才であった。頭にものをかぶり、黒染めの…

現代語訳『三州奇談』 その10「高雄の隠鬼」

『三州奇談』、今回はその10「高雄の隠鬼」(巻之三)の現代語訳である。 高尾山は富樫政親の城跡で、その麓には四十万の里があり、後は黒壁といって、今も人をたぶらかす魔物が住む所としいわれ、日が傾くころになると樵も近づかない。黒壁には数百丈の絶…

現代語訳『三州奇談』 その9「大人の足跡」

堀麦水の『三州奇談』は、近世中期に成立した加越能の奇談集である。 今回は、「大人の足跡」(巻之四)の現代語訳である。前半は大人の足跡、後半は三薄の宮(みすすきのみや)と、2つの話から成っている。いずれも河北潟周縁の伝承である。

現代語訳『三州奇談』 その7「和光不一」

「和光不一」は神の威光を示す三つの話から成っている。 能登と加賀と領内の神社のほかに、信州戸隠山が舞台となっているのが注目される。 そこに出てくる人物は加賀藩年寄の横山大和守。大和守は江戸で将軍・吉宗と家重に拝謁した記録がある。 道中で戸隠に…

『三州奇談』の考察  その二「浅野の稲荷」   狐の祟りと恩返し

さきに『三州奇談』の「浅野の稲荷」の現代語訳をこのブログで紹介しました。 今回は、その「浅野の稲荷」について、研究考察した一文を掲載します。 少し長くなりますが、興味のある方に読んでいただければと思います。 『三州奇談』の考察は「玄門の巨佛」…

『三州奇談』の考察 「玄門の巨佛」 その一 謙信の生まれ変わり

さきに『三州奇談』の「玄門の巨佛」の現代語訳をこのブログで紹介しました。 今回は、「玄門の巨佛」について考察した一文を掲載します。 少し長くなりますが、興味のある方に読んでいただければと思います。 堀麦水の『三州奇談』 は、正編99話、続編50話…

現代語訳『三州奇談』 その6「玄門の巨佛」― 下

金沢のひがし茶屋街の近くにある玄門寺の大仏についての説話である。ここに上杉謙信がからんでくる。

現代語訳『三州奇談』 その6「玄門の巨佛」― 上

慶長十九年(1614)、金沢から大坂冬の陣に前田利常が出陣した。急なことであったので馬を準備することがむずかしく与力三人につき一頭の馬しかあてがうことができなかった。 ここに俣野半蔵という与力がいた。今回の出陣は生きているうちには二度とない…

現代語訳『三州奇談』 その5「中代の若狐」

宝暦一〇年(一七六〇)、加賀大聖寺の大火の後、藩主が行った復興はすべてに広くいきわたり、町並みもおおよそ昔の姿に立ち戻った。 藩内のあちこちの山々の大木を、家の建築のあてるため、役人が立ち会い、藩主から人々に下賜された。町の人々も、この木を…

現代語訳『三州奇談』  その4「金茎の渓草」

宿での夕飯のとき、この山葵をおろしたが、たいそう堅くて金属のようだった。不思議に思った下男が主人に見せると、それは重く光っており、よくみると山葵の茎も葉も、驚くことにすべて黄金であることがわかった。

乾いた筆致の『今昔物語集』

4年前に、金沢駅近くに引っ越したとき、収納の関係でほとんどの本を古本屋に引き取ってもらいました。しかし、どうしても捨てきれなかった本を何冊か手元に置いています。 そんな本のなかに『今昔物語集』があります。 あの「今は昔」で始まる説話集です。 …

現代語訳『三州奇談』 その3「浅野の稲荷」

加賀の奇談集『三州奇談』の現代語訳を掲載中である。 その1「空声送人」、その2「伝燈の高麗狗」に続いて、今回はその3「浅野の稲荷」である。これは金沢の市街地と農村地域の境界にあたる神社にある、稲荷にかかわる奇談である。 時代としては藩政初期…

現代語訳『三州奇談』 その2「伝燈の高麗狗」

「伝燈の高麗狗」は天正の猪、元禄の狼にまつわる伝承である。江戸時代には金沢の町近くにも狼が出た記録がいくつか残されている。夕日寺・伝燈寺の狼退治のため、加賀藩が役人を派遣したことが『加賀藩史料』のなかにある。 この奇談は当時あった事実をもと…

現代語訳『三州奇談』 その1 「空声送人」

堀麦水の『三州奇談』は、近世中期に成立した加越能の奇談集である。 正編と続編あわせて149話あるが、すべて1話読み切りとなっているので、どこから読み始めてよい。これからその現代語訳を順次紹介する。 第1回は、巻の三にある「空声送人」。金沢は…

『三州奇談』現代語訳、あす第1回投稿

このブログのタイトルは、「はてな版 金沢と『三州奇談』」です。 読み返してみると、『三州奇談』については、はじめのころ1回ふれただけで、その後は忘れてしまっていました。 初心を思い出し、これからしばらくは、随時『三州奇談』の現代語訳を投稿する…

キツネとイヌの昔話

そこに「家狗の霊妙」(巻之四)というのがあります。 「家狗の霊妙」は、人のまわりにいる犬の行動に関わる伝承です。 人との長い歴史を共有する犬は、猟犬・牧畜犬・番犬、さらには愛玩犬として、共に暮らしてきました。

新奇談の犬たち 「家狗の霊妙」(『三州奇談』) その5 太平記の犬たち

『三州奇談』巻之四「伝燈の高麗狗」にも、狼と狛犬が戦った話があります。元禄期に狼がでて村人が困っていたとき、暗闇のなか寺の狛犬が二匹の白犬となって狼と噛みあって、退治したのです。

新奇談の犬たち 「家狗の霊妙」(『三州奇談』)その4 導き犬

享保(一七四一~四三)の頃、金沢から京都に通っていた男が手取川の河原を通ったとき、白犬の咽喉に刺さった骨をとってやったところ、男がそこを通るたびごとにあらわれ、荒れ川の危険な河原を犬が案内したのです。ここには導き犬のイメージがあります。

新奇談の犬たち 「家狗の霊妙」(『三州奇談』)その3 予知する犬

犬の能力についてみてみますと、その感覚のなかでは嗅覚がもっとも発達しており、聴覚もまた鋭く、シェパードは人間の四倍もあるといわれています。 犬はもともと自然界にあった食肉類の一種でしたので、人との共同生活のなかで持ち前の感覚力を発揮し、自然…

新 奇談の犬たち 「家狗の霊妙」(『三州奇談』)その2

「家狗の霊妙」のなかで犬が発揮する霊力、はじめの話は災難を予知する犬です。 この話は、金沢城下の家士の飼い犬が山崩れを予知し、主人夫婦が難を逃れたというものです。 犬の予知により、飼い主の夫婦が家を立ち退いたのは元禄12年12月22日で、翌23日に…

現代語訳『三州奇談』 その1「大人の足跡」

堀麦水の『三州奇談』は、近世中期に成立した加越能の奇談集です。 第一回の今回は、「大人の足跡」(巻之四)の現代語訳です。 前半は大人の足跡、後半は三薄の宮(みすすきのみや)が語られています。 いずれも金沢の北に位置する河北潟周縁の伝承です。「…

金沢に江戸時代の『三州奇談』 その3

『三州奇談』の149話は、私にとって奇談と郷土史の「無尽蔵の宝庫」に思え、これからも読み解く作業を続けてゆきたいと考えています。これは加賀・能登・越中の奇談集です。