はてな版  金沢と『三州奇談』  

金沢と『三州奇談』の雑記帳   ki-dan.com

現代語訳『三州奇談』その20 「家狗の霊妙」(巻之三)

この「関氏の心魔」には、ふしぎな光の怪の話が二つ出てくる。 どちらも怪にであった人がその奇怪な体験を語るものである。今に比べ夜ははるかに暗かっただけに、夜中に明るい光をみることは、異様で奇怪な体験であっただろう。

現代語訳『三州奇談』19 「怪異流行(巻之四)」

狐に化かされたような話があり、生霊も出て来た。いずれも日常生活の中から拾いあげた怪異である。 「昔の本にでてくる幽霊は、必ず申し申しと呼ぶ」以下は、作者の言葉であろう。昔は丁寧で、今は軽率なのは、人間だけでなく幽霊も同様になってしまったとい…

現代語訳『三州奇談』その18 「家狗の霊妙」(巻之四)

堀麦水による『三州奇談』は、近世中期に成立した加越能の奇談集である。今回はその18「家狗の霊妙」(巻之四)の現代語訳である。これは人間とともにある犬にまつわる奇談である。

現代語訳『三州奇談』その17 「怪異流行(巻之四)」

元文元年(一七三六)中秋の良夜、午前一時頃、金沢・材木町の塩屋某は気心の知れた三人で連れ立って、月見がてら、紺屋坂下堂形前の空き地にやってきた。 そこで怪しいことが起こったのだ。背の高い三人は裸になり、下帯だけになり、衣類や大小の刀を帯でく…

現代語訳『三州奇談』 その16「非無鬼論」(巻之二)

近頃方々の寺社建設のための資金集めという名目で、富突きというものがはやっている。わずかの金額だが、多くの人から多くの札を集めてやっている。 錐で箱のなかを突いて、その一回だけで程度を越えた金を賞金として渡している。このため人々は家を売ってま…

現代語訳『三州奇談』 その15「夜行逢怪」

「夜行逢怪」(巻之三)には首の長さ六、七尺もある女の話が四つも出てくる。ニコニコ笑って行き過ぎた首があり、すれ違いざま息を吹きかけられ具合が悪くなった侍もいる。 金沢市橋場町に不破医院があるが、ここに出て来た不破玄澄という医者の子孫である。…

現代語訳『三州奇談』 その14「程乗の古宅」

金沢城内に後藤程乗屋敷なるものがある。前田利常の時、程乗は毎年京都からきて、殿の好みに応じてつとめていたので、ここにその屋敷跡があるという。 この後藤の先祖は、京都の室町幕府十二代将軍義晴に仕えて、彫物細工で名高かったが、その後衰退していっ…

現代語訳『三州奇談』 その13「異類守信」

加賀藩の年寄・長家は、長谷部信連を始祖として続いており、連竜の武名は北国に知られ、加賀藩の家臣として三万三千石の所領をもっている。この家のことは別の書に詳しいので略する。 ただ長家には、ほかの家とは違っていることが多い。第一に鷹狩りを禁じて…

現代語訳『三州奇談』 その12「鞍岳の墜棺」

鞍岳は金沢城下の南西に位置しており、高尾山と峰続きである。近郷の高山は霊妙不思議な山であり、鞍岳山頂には真夏でも枯れない池があって、水は炎天でも涸れることはない。 その付近の池には山彦の怪があり、蓴菜の名所で、夏には訪れる人が大勢いる。

現代語訳『三州奇談』 その11「霾翁の墨跡」

あるとき武家に雇われて江戸に行き武州深谷の雇夫九兵衛というものを相棒として、武州総泉寺出の病僧が京都紫野へ向かうのをかついで、北陸道経由で上って行った。 この老僧の姿かたちは普通ではなく、年齢は八、九十才であった。頭にものをかぶり、黒染めの…

現代語訳『三州奇談』 その10「高雄の隠鬼」

『三州奇談』、今回はその10「高雄の隠鬼」(巻之三)の現代語訳である。 高尾山は富樫政親の城跡で、その麓には四十万の里があり、後は黒壁といって、今も人をたぶらかす魔物が住む所としいわれ、日が傾くころになると樵も近づかない。黒壁には数百丈の絶…

現代語訳『三州奇談』 その9「大人の足跡」

堀麦水の『三州奇談』は、近世中期に成立した加越能の奇談集である。 今回は、「大人の足跡」(巻之四)の現代語訳である。前半は大人の足跡、後半は三薄の宮(みすすきのみや)と、2つの話から成っている。いずれも河北潟周縁の伝承である。

現代語訳『三州奇談』 その8「祭礼申楽」

堀麦水の『三州奇談』は、近世中期に成立した加越能の奇談集である。今回は、「祭礼申楽」(巻之五)の現代語訳である。 「祭礼申楽」は、藩政初期のころの、一枚の能面にまつわる奇談である。

現代語訳『三州奇談』 その7「和光不一」

「和光不一」は神の威光を示す三つの話から成っている。 能登と加賀と領内の神社のほかに、信州戸隠山が舞台となっているのが注目される。 そこに出てくる人物は加賀藩年寄の横山大和守。大和守は江戸で将軍・吉宗と家重に拝謁した記録がある。 道中で戸隠に…

漱石とイリアス

漱石とイリアス 10年ほど前に、金沢大学のゼミで、8人の学生とともに半年間、ホメロスの『イリアス』を読んだことがあります。先生はギリシア文学の翻訳もされている安村典子教授(当時)でした。 それまでに『イリアス』を読んだことはありましたが、普通の…

『三州奇談』の考察  その二「浅野の稲荷」   狐の祟りと恩返し

さきに『三州奇談』の「浅野の稲荷」の現代語訳をこのブログで紹介しました。 今回は、その「浅野の稲荷」について、研究考察した一文を掲載します。 少し長くなりますが、興味のある方に読んでいただければと思います。 『三州奇談』の考察は「玄門の巨佛」…

『三州奇談』の考察 「玄門の巨佛」 その一 謙信の生まれ変わり

さきに『三州奇談』の「玄門の巨佛」の現代語訳をこのブログで紹介しました。 今回は、「玄門の巨佛」について考察した一文を掲載します。 少し長くなりますが、興味のある方に読んでいただければと思います。 堀麦水の『三州奇談』 は、正編99話、続編50話…

現代語訳『三州奇談』 その6「玄門の巨佛」― 下

金沢のひがし茶屋街の近くにある玄門寺の大仏についての説話である。ここに上杉謙信がからんでくる。

現代語訳『三州奇談』 その6「玄門の巨佛」― 上

慶長十九年(1614)、金沢から大坂冬の陣に前田利常が出陣した。急なことであったので馬を準備することがむずかしく与力三人につき一頭の馬しかあてがうことができなかった。 ここに俣野半蔵という与力がいた。今回の出陣は生きているうちには二度とない…

現代語訳『三州奇談』 その5「中代の若狐」

宝暦一〇年(一七六〇)、加賀大聖寺の大火の後、藩主が行った復興はすべてに広くいきわたり、町並みもおおよそ昔の姿に立ち戻った。 藩内のあちこちの山々の大木を、家の建築のあてるため、役人が立ち会い、藩主から人々に下賜された。町の人々も、この木を…

小川洋子『薬指の標本』

人びとが思い出の品物をもちこむ「標本室」で働く事務員の女性と、その経営者である標本技術士、その二人の日常の中の不可思議。 標本技術士がプレゼントしてくれた靴は事務員の足にピッタリ合っており、やがて足と一体化して脱げなくなってしまうと、標本を…

コーヒーと嗅覚

いつもの店でコーヒー豆を挽いたのを買ってきた。 金沢市内に数店出しているキャラバンサライという専門店の武蔵店、近江町いちば館の地下にある店に行った。 豆の種類に、「近江町」、「加賀美人」、「金沢物語」といったユニークな名前を付けている。以前…

小川洋子『妊娠カレンダー』

妊娠し、つわりをし、出産する姉に、毒薬に染まったアメリカ産のグレープフルーツジャムを食べさせ続ける妹。 裏表紙には「妊娠をきっかけとした心理と生理のゆらぎを描く芥川賞受賞作」とあります。 小川洋子『妊娠カレンダー』。

現代語訳『三州奇談』  その4「金茎の渓草」

宿での夕飯のとき、この山葵をおろしたが、たいそう堅くて金属のようだった。不思議に思った下男が主人に見せると、それは重く光っており、よくみると山葵の茎も葉も、驚くことにすべて黄金であることがわかった。

漱石最後の作品『明暗』

古書店に、昔のNHKラジオテキスト『夏目漱石』(佐藤泉)があったので求めました。2000年10月から半年放送分のテキストです。 そこに漱石最後の未完の作品「明暗」について書かれて部分がありました。 漱石の小説は「三四郎」以降、男女の三角関係が主題…

乾いた筆致の『今昔物語集』

4年前に、金沢駅近くに引っ越したとき、収納の関係でほとんどの本を古本屋に引き取ってもらいました。しかし、どうしても捨てきれなかった本を何冊か手元に置いています。 そんな本のなかに『今昔物語集』があります。 あの「今は昔」で始まる説話集です。 …

小川洋子『密やかな結晶』

小川洋子さん英文学賞候補 ブッカー国際賞(2020年4月3日) 【ロンドン=共同】英文学界の最高峰ブッカー賞の主催団体は2日、賞の国際版である「ブッカー国際賞」の今年の候補6作品を発表、作家小川洋子さんの「密やかな結晶」が候補に入った。受賞作の発表は…

小泉八雲を読む

小泉八雲の『怪談』は何度も読んでいますが、先日買ってきた上田和夫訳『小泉八雲集』(新潮文庫)の内容は、盛りだくさんでした。 前半には『怪談』などの怪談・奇談が収められています。『影』、『日本雑記』、『骨董』そして『怪談』です。 後半は日本文…

5月のカレンダー 帝釈天(東寺)

JALのカレンダーを使っています。 世界の美女シリーズではなく、ARTカレンダーのほうです。各ジャンルの日本の美術品を集めたものです。 その5月の写真は、東寺の帝釈天です。

奈良・新薬師寺の香薬師

折に触れて思い出す仏像があります。 奈良・新薬師寺の香薬師です。 新薬師寺は東大寺の南方、飛火野の南、高畑町にあります。西ノ京にある薬師寺との関係はなく、近くにある東大寺の末寺のようです。 バス停で下りてだらだら上りの道を、古い崩れかけた築地…